2025年6月6日
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学部1年次後期という早い段階から“本物の研究”に取り組められる国内唯一の「麻布出る杭プログラム」は、年々認知度が高まり、今では「入学のきっかけが『麻布出る杭』」という新入生が3割を占めるまでに発展しました。
昨年度に引き続き、今年も3月に研究プロジェクトを修了した “出る杭”(現 学部3年次)たちが、2025年5月28日(水)、これまでの研究成果を発表しました。
※ 昨年度の発表会の様子は、文末のURLからご覧ください。
「麻布出る杭プログラム」の立案者である菊水健史 副学長からこのような言葉が飛び出しました。これまで学内外に「麻布出る杭」を紹介する際、“本物の研究”という言葉を都度使ってきましたが、単なる教育活動ではなく、どのように“出る杭”を引き延ばしていくのか、本プログラムの特長を端的に表した象徴的な言葉と言えます。
“大人の本物の研究者”と同等ということは、理系の卒業研究でよく言われる「参加賞」的な甘さは一切なし、実験への取り組み姿勢や考察などに対する厳しさは相当なものだったと想像できますが、実際にどうだったか、修了生たちに聞いて回りました。
結果、誰一人マイナスな言葉はなく、むしろ“大人の本物の研究者”としての成長を感じさせるコメントばかりでした。
・最初からやる気があったので、誰から何も言われなくても自発的に必要な情報をなんでも集める「探求力」が付いた。
・実験方法の検討や、結果に対する考察など、手探りの毎日だったが、すぐに教員に頼るのではなく、仲間と意見を出し合って考える方が多かった。その甲斐あって、かなり実力が付いた気がする。
・発表会にはまだ専門知識を学んでいない新入生も多く来場していたこともあり、「専門性の高い内容をできるだけ簡単な言葉で伝えること」の難しさを痛感した。でも、自分の研究分野を話していくうちに、段々話すことが楽しくなったので、いい鍛錬の場となった。
・質疑応答を通して、自分のデータが確実でないことが分かった。どうすればクオリティを上げられるかのヒントも得られたので、できればすぐにでも修正に取り掛かりたい。
何事もプラスに捉えて楽しむ“出る杭”たちの特徴が、ここでも垣間見られました。会場にマイナスな雰囲気は一切なく、常に輝きを放っている理由がここにあるのかもしれません。
また、昨年度は「このまま同じ研究を継続していきたい」という学生が多かったのですが、今年度は、「もともとやりたい分野は別にあり、この研究プロジェクトではそれとは異なる、自分の所属学科ではできない分野に敢えてチャレンジしてみた。」という学生が多く見られました。
・学部・学科の枠を超えて研究に取り組めるのも、「麻布出る杭」の良さ。他の大学ではできない。
・1つのテーマに対して、専門分野ごとに様々な知見や見方がある。これを利用して、違う学科の学生たちを共同研究者として集わせることで、様々な視点から物事を捉える力を身に付けられるため、非常に教育効果が高い。
・今回の発表会も、昨年度の多くの参加者から「他の研究をしている人ともっと交流を深めたかった。」という要望があったため、学内で最も広い会場に変更して、より開放的に自由に交流できるようにした。
学生からは「違う分野のことも知れて、チャレンジしてよかった。」「自分の学科では体験できない実習のおかげで、視野が広がった。得られた知識・技術が強みとなって、今後の授業で活かせそう。」という感想もあり、「麻布出る杭」の狙いが見事に当たったと言えます。
そんな様々な学科の“出る杭”たちと研究を共にした指導教員にも感想を聞きました。
・麻布出る杭の学生は、私たち教員が日々力を注いでいる研究の重要性を理解してくれている。というより、自発的に理解しようとしてくれる。傍から見たら「何をやっているのかよく分からない」なんて言われることもある中、これは本当に嬉しい!
・探求心、観察力、行動力、粘り強さ、すべて素晴らしい。根本からやる気が群を抜いているから、例えば一般的には退屈に思える動物の観察も細かい視点で地道にこなしており、安定した成長を見せてくれた。
・今では、実験を一から任せられるくらい信用・信頼できる人材となった。こんな学部学生は、なかなかいない。
・研究とはいわば未知の課題に挑むことなので、実験はうまくいかないことが多く、理想を追い求めてひたすらデータ収集を繰り返す作業は非常に過酷。その壁を彼らは乗り越え、データを得られた時の歓びを知ることができた。
・もう基礎がしっかり身に付いているので、この先どんな分野に進んでも通用する人材。ただ、もっと何年も掛けないと身に付けられないものもあるので、本当はこれからも一緒に研究を続けてもらって、そういう能力を伝えてあげられたらいいのに、というのが本音。
教育に対する愛だけでなく、教員と学生という世代間の差を超えた“大人の本物の研究者”同士の絆が生まれたからこその言葉の数々。中には目頭が熱くなっている教授もいました。
村上賢学長からも力強いコメントをいただきました。
「麻布出る杭」が当初から狙っていたことが見事に実現できている。この発表会を見て、はっきりと分かった。この“出る杭”たちがこれからどう過ごしていくのか、この教育効果がどこまで続いていくのか、できれば卒業後まで追いかけて見ていきたい。そこまでやって、私たちのやってきたことが間違いなかったと確認できたら、初めて「麻布出る杭」が成功したと言える。あと2、3年で結果が出始めると思うので、今後も継続させて、完全に自走できるようになるまで見届けたい。
単位に関係なく純粋に研究がやりたくてしょうがない“出る杭”たち、研究者の教員、「麻布出る杭」に興味を持った知的好奇心の塊の原石(新入生)たちで会場はごった返し、夜になっても冷房も効かないくらい熱気が充満、あまりの暑さに窓全開のイベントとなりました。
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