出る杭プログラム総括シンポジウム報告:好きを力に、とがった才能を引き出す教育プログラム

2025年8月20日、「麻布大学出る杭プログラム総括シンポジウム:好きを力に とがった才能を引き出す教育プログラム」を開催しました。

このシンポジウムでは、文部科学省の「知識集約型社会を支える人材育成事業 メニューⅡ」において、全国で唯一採択された本学の「麻布出る杭プログラム」の5年間の成果を振り返るとともに、今後の展望を広く共有しました。(※2022年度の中間評価では、最高ランクである「S」を獲得)

基調講演:村上雅人先生(大学共同利用機関法人情報・システム研究機構・監事)

村上雅人先生(大学共同利用機関法人情報・システム研究機構・監事)

基調講演では、村上雅人先生から、「夢をつなぐ大学教育」をテーマに御講演をいただき、夢をつなぐ大学とは、教員・職員・学生に夢と希望を与え、勇気づける存在であり、本来人が持つ能力と可能性を最大限に引き出す「エンパワメント」の実践を目指す大学であるという視点に基づき、本プログラムが「夢をつなぐ大学教育の規範となる」と高い評価をいただきました。

成果報告:菊水健史副学長

麻布大学菊水健史副学長

次に、菊水健史副学長から、本プログラムの誕生のきっかけや出る杭プログラムのイメージイラストのストーリーを元に、5年間で実現した成果や、大学教育における課題と展望について報告が行われました。この報告は、実体験に基づく一貫した姿勢や力強い思いが伝わるものであり、参加者の心をつかみ大きな理解を促しました。

特に、教学IRによるプログラムの効果測定や、教職協働・信頼・共感による相互作用が、本プログラムの成果を後押ししていることも示されました。

ジェネプロ研究

  • 学部1年次から本格的な研究活動に参加する機会を提供
  • 解のない問いへの挑戦、失敗からの学び、PDCAサイクルの実践を重視
  • 参加者は2020年度の11名から2024年度には173名に増加
  • 研究計画立案、論文読解、科学的スキルの向上など、地道な努力を通じて成長
  • 学部生でありながら外部資金の獲得や科学論文の発表を行う学生も登場
  • 指導教員は学生の主体性と成長を実感

大学院科目早期履修制度

  • 学部4年次から大学院科目を履修可能
  • 大学院進学後に研究時間の確保や条件を満たせば修士課程を1年で修了可能
  • 参加学生は研究活動を通じて、研究者としての自覚と成長を実感

海外チャレンジプログラム

  • 高学年の学生が海外の研究機関や大学で最先端の研究に挑戦
  • 専門性の深化、科学英語力の向上、国際的視野の拡大に寄与
  • 学生は研究者としての成長に加え、忍耐力や生活力も養成

教学IRを活用した教育の質保証

  • 「サイエンスリテラシー」「コンピテンシー」テストを通じて行動特性や科学基礎力を測定し、ジェネプロ参加者は非参加者に比べ、専門性・実践力などが向上
  • 学生自身が成長を実感しやすくなる工夫の実施

成果報告:前田高志高大接続・社会連携プログラム開発センター長

続いて、前田高志センター長から、高大接続の成果と取組内容について報告がありました。この5年間で飛躍的に進んだ大きな要因として、教職協働で一体となって進めたことや、高校教育に造詣が深い方を客員教授として招聘するなどを挙げ、高校・大学を取り巻く最新の動向に合わせた、柔軟な体制で取り組んでいることが強調されました。

高大接続教育プログラム

  • 高大接続校10校を達成
  • 「いのちと共生の研究プログラム」を通じて、高校生の探究的学びを促進し、大学教員が伴走しながら主体的な探究学習を支援
  • 修了者は、麻布大学への指定校推薦による受験が可能。入学した場合は、高校に取得した単位が大学の正式な単位として認定
  • 高校と大学、地域社会が一体となって学びを支援

成果報告:参加学生(ジェネプロ研究、海外チャレンジプログラム、大学院早期履修制度)

この後、実際にプログラムに参加した学生3人から、参加した理由、取り組んだ研究、大変だったこと、嬉しかったこと、身に付いた能力、これらのプログラムに興味のある高校生や本学学生に向けたメッセージがありました。

  • 1年次からの研究活動でモチベーションの向上
  • ジェネプロ研究・学部授業・アルバイトの両立により、タイムマネジメント能力向上の実感
  • 海外の多様性の理解、研究ディスカッションによる視野拡大
  • 学生は研究者としての成長に加え、忍耐力や生活力も養成

パネルディスカッション

パネルディスカッションでは、菊水健史副学長がファシリテーターとなり、大学教員・高校教員・学生のそれぞれの立場から、質疑応答も含めて成果や今後の展望について議論が行われました。

大学教員/高校教員

  • 「やってみたい」「面白い」と感じる知的探究心こそが研究の原動力であり、出口が見えなくても挑戦する環境が必要である
  • 探究学習を支えるためには、高校・大学間、さらには大学同士のネットワークの形成が不可欠である
  • 異なる学年の学生を指導しながら自身も学び直すことができる喜びや、学生が研究発表を通じて自信を深めていく姿への感動がある

学生

  • 自身の研究経験を通じて培った論理的思考力や情報整理力、精神的・体力的な成長につながった
  • 研究活動できる環境があったこと、それにより自己成長の大きな契機となった

今後の展望:村上賢学長

本シンポジウムの閉会にあたり、村上賢学長から、「好きを力に」という理念のもと、学生一人ひとりの個性を伸ばし、社会で活躍できる人材の育成を今後も推進する旨の挨拶があり、本学の今後の教育へ希望が示唆されました。

関連情報