(学会発表)繁殖に適しているオットセイを早期に判別できる可能性を見出しました

動物応用科学科の寺川講師が担当代表を務める研究プロジェクトでは、すみだ水族館(東京都墨田区)との共同研究として「オットセイの繁殖管理に関する研究」を行っています。2025年7月23、24日に大阪で開催された第8回野生動物保全繁殖研究会大会において研究成果の一部が発表されました。
(※文頭の写真は、2025年5月に学内で行われた研究プロジェクト修了式および研究成果発表会での記念撮影です)

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標題:「ミナミアメリカオットセイにおける妊娠力評価方法の検討」
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すみだ水族館では現在5頭のミナミアメリカオットセイが飼育展示されています。いずれもメスであるため、ブリーディングローン*を活用した繁殖に取り組まれてきました。実際、飼育されている5頭のうち1頭は、この方法により誕生した個体です。

オットセイは季節繁殖動物で、繁殖のチャンスは年に一度だけ。この限られた機会に確実に繁殖を成功させるためには、「どの個体が繁殖に適しているか」を見極め、繁殖の順番を決めることが重要です。今回の研究では、年齢以外に客観的な指標として活用できるものを探るため、血液中の特定のホルモンを測定し、「妊娠力」の評価が可能かどうかを検討しました。

いくつかの候補となるホルモンを測定したなかで、「インヒビン」というホルモンが卵巣機能の正常性を判断し、当該年に繁殖が期待できる個体を早期に判別できる可能性があることがわかりました。

今後も「出る杭」研究プロジェクトでの本物の研究活動を通じて、持続的な動物の繁殖や保全に貢献していきます。

ブリーディングローン*
希少な動物を絶やさず増やしていくために、動物園や水族館同士で動物を貸したり借りたりする制度です。

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