農場(養鶏・養豚)の動画分析で技術・経営の改善をめざす

大木茂(動物資源経済学研究室)、水野谷航(食品科学)、加瀨ちひろ(動物行動学)

研究の背景

鳥インフルエンザや豚熱など畜産生産は伝染性疾病と公衆衛生をふまえた技術開発が強く求められています。その視点から、近年、連続的に動画を撮影し、その映像を人工知能や機械学習などにより分析することで、非接触で飼養技術の向上、経営改善の試みが急速に進んでいます。

豚では、日本ハムとNTTデータが、4年にわたる準備期間を設けて今年度中に発売予定の「PIG LABO」。肉用鶏ではイシイが「つたえる蔵」で鶏舎内環境を遠隔で把握・分析しており現在動画分析を開発中です。

このように映像を利用した非接触による畜産技術・経営改善はトレンドとなっています。

アプローチ

本PJでは、アニマルウェルフェアに配慮した畜産生産重視の観点から「放牧豚」と「平飼い採卵養鶏」を対象とします。それぞれの現場に、カメラを設置しそれを24時間映像を取得して、その分析を行うことで、飼養管理技術を向上させ経営改善につなげることを最終的な目的とします。

右側の2つの図はいずれもNEC通信さんが提案している仕組みで、これを活用して(予定)、収集したデータを、どう分析するか、動物行動学・食品化学・経営経済学の視点から総合的に検討して進めたいと考えます。

期待される結果

映像からえられるデータには何があるか、どう活用するかをまず1年目では検討することになります。放牧豚では体重管理、「平飼い採卵養鶏」では巣外卵・鶏同士のつつき削減、といった実現すべき目標は定まりつつあります。これを映像を通じてどう集め・分析できるかを検討し実現できれば、アニマルウェルフェア配慮生産をサポートすることになると考えます。又映像が入手されることで、豚・鶏の飼育環境を広く国民理解につなげるツールとして活用することも可能になります。

現状とこれから

申請時点(4月末)では、まだ取り組みが確定していません。今後、企業などと相談しながら実施に向けて調整を行っていきます。したがって皆さんに説明する時点では、大きな変更が生じている可能性がありますがご理解ください。

ただし、画像により非接触で技術向上、経営改善、を追求することは、今日の大きなトレンドですので、2023年度以降も、画像を使ったデータ分析がうまくできれば、引き続きこのプロジェクトを進める予定です。

研究詳細PDF
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