生物の季節変化をデジタル技術で見える化する

高田久美子(気候変動学)、村山史世(地域環境政策)、西脇洋一(数理・データサイエンス)、新田梢(植物生態学)

研究プロジェクトの概要

サクラの開花といった生き物の季節変化(生物季節)は、気候変動の生態系への影響の重要な指標になります。近年、地球温暖化によって生物季節のタイミングが影響を受けることが分かってきました。

気象庁で70年以上実施されてきた生物季節観測を引き継ぐ形で、2021年から国立環境研究所による生物季節モニタリングの全国調査が始まり、麻布大学は開始当初からこれに参加して、さまざまな動植物の生物季節をキャンパスで観測しています。生物季節観測は同じ場所、同じ基準で長期間にわたって観測することが重要です。そのため、わかりやすい観測手法の確立が、毎年メンバーが入れ替わる大学では特に重要です。しかし、「咲き揃った時の約80%以上が開花した状態が満開」「葉の約80%が落葉した日が落葉日」といった生物季節の基準を、徐々に変化する状態から見極めるのは、観測経験が少ない人にとって難しいものです。

この研究プロジェクトでは、Googleの機能などを用いて、これまでの生物季節観測で得られたキャンパス内での観測結果と写真をデータベース化したり、地理情報システム(GIS)の手法を取り入れてマップによる可視化をしたり、拡張現実(AR)で咲き揃った時の様子や葉が茂った時の様子などを端末で見ながら観測できる「生物季節観測サポートシステム」を開発したりするなど、さまざまなデジタル技術を用いた活用について検討します。

キャンパス内での生物季節観測の結果や写真をデータベース化し、基盤情報として活用できるようにすることで、それを活用したシステムの構築が可能になります。その一つとして咲き揃った時の様子や葉が茂った時の様子などを、観測しながら手軽に確認できる「生物季節観測サポートシステム」の開発を目指します。

そのほか、生物季節観測の紹介ツールの構築や、AIを用いた自動観測システムの開発可能性など、活用方法についても検討します。

求める学生像

デジタル技術が日進月歩しているなかで、新しい技術を習得し、目的にそって組み合わせながら、システムを構築することが期待されます。自ら新しい技術にアプローチし、システムの構築を提案する自発性、積極性のある方を求めます。デジタル技術やデータサイエンスに興味のある方、生物季節や気候変動に興味のある方を歓迎します。

研究詳細PDF
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