研究プロジェクト2021

野生動物を対象とした集団遺伝学

田中和明(動物遺伝情報)・戸張靖子(小鳥の歌の科学)

研究の背景

A島とB島に分布しているある野生動物種Xの保全について考えてみましょう。A島ではXの個体数が減少し絶滅が心配されています。これに対してB島ではXの個体数が増えています。

この時、A島に生息しているXを保全する必要があるでしょうか?
またB島で増えすぎた個体を捕獲してA島に放つことでA島の個体数を増加させてよいでしょうか?

この問題を科学的に解決するためには個体群内の遺伝的多様性を測定しなくてはなりません。そして遺伝的多様性を扱う基礎となるのが集団遺伝学です。

アプローチ

このプロジェクトでは、野生動物の遺伝的多様性の保全につながる集団遺伝学を学習しながら、主に群馬県で捕獲されたニホンジカおよびニホンカモシカの遺伝子マーカーの調査を行います。またこの分野が活用されている実例を理解するために、国立博物館(上野)の常設展示を用いた学習を予定しています。

期待される結果

集団遺伝学は、生物を個体ではなく集団として取り扱います。このため1つの集団当たり数十から数百個体の遺伝子型情報を取り扱う必要があります。これには、実験室で行う生化学的な分析だけではなく、PCを使った統計処理が極めて重要になります。まずは入門として公開されている論文のデータ用いて再分析を行い、分析の基礎を学び、同時に分析結果のプレゼンテーションを行う能力を身につけていただきます。引き続きDNAの分析を担当していただきます。

現状とこれから

野生動物の研究というと、山野の中で動物の行動を継続して観察する研究様式がイメージされがちです。私も山歩きは大好きです。しかし、実験室で多数の検体を調査する事ではじめて明らかになる分野も存在します。遺伝情報がこのような分野に活用されている事を理解し、共に活動できる学生を募集します。

募集について

募集人数:2名
求める学生像: 理解の有無に関係なく色々な事を1度だけ体験したいというのではなく、目的を理解し反復することで得られる発見に喜びを感じる学生が望ましい。

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