動物の歯周病は人間からうつる??

島津德人(口腔病理学)、小林直樹(分子生物学)、片平浩孝(寄生虫学)

研究の背景

  • 動物園や水族館で飼育されている動物も高齢化が進み、これらの飼育施設において動物たちの口腔疾患が増加している。
  • 歯科診療に精通した獣医師は少なく、多くの飼育施設では長年の経験を積み重ねた対症療法に頼るしかない状況である。
  • ヒトとペットとの間で歯周病原性細菌の交差感染を示唆する報告はあるが、飼育員と飼育動物との間で交差感染が生じているのかその実態はよくわかっていない。

アプローチ

  1. 麻布大学いのちの博物館に収蔵されている動物の頭蓋骨を対象に、肉眼的/X線学的に観察し、口腔疾患の罹患状況(歯周病を中心に、歯髄炎、う蝕、破折、咬耗・摩耗、歯列不正、顎変形など)を調べる。
  2. 動物園・水族館の飼育動物、家畜(ウマ、ウシ、ブタ)、野生動物を対象に、歯周病の直接的な原因であるプラーク(歯垢)の沈着状態を調べる。
  3. 飼育動物と飼育担当者から歯周ポケット内の唾液を採取し、ヒトで検出される歯周病原性細菌のDNA検査を行い、歯周病原性細菌の交差感染の状況を明らかにする。

期待される結果

  • ヒトと動物の間で歯周病原性細菌の交差感染が確認できれば、人獣共通感染症という捉え方もできるようになる。
  • 歯周病原性細菌は唾液感染を基本としているが、ペット以外の動物にどのように感染しているのかを解明することで、細菌感染の新しい経路の発見につながるかもしれない。

現状とこれから

  • アシカと飼育員を対象とした解析では、全てのアシカからヒトの歯周病原性細菌が検出された。また、アシカの感染パターンが飼育員の感染パターンに類似することがわかっている。
  • 今後は、アシカ以外の動物にも対象を広げ、動物園・水族館で飼育されている動物、学内で飼育されている家畜動物、麻布大学フィールドワークセンター近くの山に棲息する野生のイノシシなどを調査していく。
研究詳細PDF
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