研究プロジェクト2021

動物に生息する微生物から新しい薬を作りませんか?

紙透伸治(化学)、加瀬ちひろ(動物行動学)、相原尚之(病理学)

研究の背景

微生物や植物がつくる天然の化合物(天然物)は、古くから薬として利用されています。現在、薬の約1/3がこの天然物をもとにつくられています。例えば、ドラマ「仁」でも出てきますが、微生物のアオカビがペニシリンを作ります。ペニシリンの発見から100年近くたった今も、微生物がつくる化合物から薬を開発する研究がされています。

微生物は、ヒトや動物にとって病気を起こす「悪いもの」として考えられていました。一方、最近、ヒトや動物に生息する微生物は病気から体を守っており、私たちや動物にとって有益に機能していることがわかってきました。動物や私たちの体には多数かつ多様な微生物が共生しており、健康の維持に貢献しています。この健康維持に関与している微生物の中に、私たちの病気を治してくれる微生物が存在することが最近わかってきました。その証拠の一つにヒトの鼻に生息する微生物には、既存の薬が全く効かない病気に対して効果がある化合物をつくっている微生物がいることがわかりました。

これまでに私たちの研究グループでは、麻布大学で世界で初めて見つかった化合物を報告しています。これまで多種多様な動物から有用な化合物をつくる微生物を探すことは、行われていません。このプロジェクトでは、様々な動物に生息する有用な微生物の探索~微生物が作る有用な化合物を見つけ出すことまでを行います。

アプローチ

様々な動物の糞や消化管から微生物を採取します。採取した微生物を培養し、これらが作っている化合物を精製します。精製した化合物の構造を分析装置を用いて解析し、生物活性試験によりどのような効果を示すかを調べていきます。

期待される結果

得られた化合物は、ウイルス感染症、アルツハイマー病、炎症、がんなどに関わる効果を試験して、薬として利用できる物質がないかを調べます。もちろん薬剤として応用される可能性は非常に低いのですが、当たれば大きいところが魅力だと思います。

このプロジェクトは動物⇒微生物⇒化合物(化学)⇒活性試験(細胞生物学)と幅広い分野を学ぶことができます。動物から得られた微生物がつくる分子が、薬剤となって動物医療に貢献できる、というのが最終目標です。

現状とこれから

これまで、コアラ、ハダカデバネズミ、ウズラの糞や消化管から微生物を採取し、これらがつくる化
合物を調べてきました。今後は動物園にいるその他の動物や、イヌ、ネコなどのペットに生息する微生物について解析する予定です。

募集について

募集人数:1名
求める学生像: 化学から生物まで幅広い分野に興味があり、失敗しても根気よく物事に取り組める人、 実験が好きな人。

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