竹田志郎(食品機能)、伊藤潤哉(生殖科学)、寺川純平(ゲノム編集・疾患モデル)
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研究の背景
現代において、成人カップル5組に1組が不妊症(赤ちゃんを望んでも妊娠に至らない)に悩んでおり深刻な社会問題の一つとなっています。体外受精などの技術の開発により妊娠できるケースもありますが、不妊症の半分以上は原因が不明であり現在の技術・知識では治療できません。
また近年の研究でヒトでは「膣内の乳酸菌の割合が多い女性が妊娠しやすい」ということが分かってきました。乳酸菌はヨーグルト等に含まれる微生物です。
本プロジェクトではマウスを用いて、乳酸菌のもつ力を科学的に解明し、その力を利用することで「不妊症の治療」や「妊娠しやすい体作り」に役立てたいと考えています。
アプローチ
ヒトでは,年齢とともに妊娠しにくくなることが知られています。そこでマウスをモデルとして以下の研究を行う予定です。
- 若いマウスと高齢マウスの膣内に存在する細菌叢細菌の種類や割合は違うのかどうか?
- 妊娠率の高いマウスの膣由来乳酸菌を培養する
- 乳酸菌サプリメントを投与することで高齢マウスの妊娠能力が改善するかどうか?
期待される結果
不妊改善につながる乳酸菌サプリメント開発につながることが期待されます。ヒトだけでなく、実験動物 マウス や伴侶動物 イヌ・ネコ さらには家畜 ブタ・ウシ の繁殖や希少動物・動物園動物の繁殖にも役立てるかもしれません。
現状とこれから
昨年度から本プロジェクトを立ち上げ、A学科2名、M学科1名の学生さんと進めています。
現状、マウス膣由来試料から乳酸菌を見出すことができました。また、ある乳酸菌サプリメントをマウスに与える実験を行い、これから腸内細菌叢の解析、膣内細菌叢の解析を始めていくところです。このプロジェクトにぜひ参加し、乳酸菌の新しいヒトへの効果効能、つまり妊活用乳酸菌の発見を一緒に目指しましょう!