研究プロジェクト2021

”痛み”を食で抑える !薬に頼らない安全性の高い治療を目指して

武田守(神経生理学)、栗林尚志(免疫学)

研究の背景

「食品に含まれる特定の化学成分」が持つ生体調節作用が高血圧・糖尿病など生活習慣病などの発症に密接に関わることを示唆する科学的エビデンスが数多く報告されています。

最近、薬物に頼らない疾病の治療「補完代替医療」が、予防医学や健康食品の開発の視点より注目されています。関節炎や三叉神経痛などの慢性疼痛疾患などの治療薬の多くは主作用以外の副作用を伴い、それを緩和する薬物の処方が必要です。

実際疼痛の緩和を目的とした治療薬の生体での標的分子(イオンチャネル、伝達物質受容体、プロスタグランジン合成酵素など)に食品に含まれる化学成分が作用する可能性を示唆する人や細胞への投与効果の報告はありますが「生体でその作用メカニズム」を明確に解明した実験は、ほとんどありません。

本プロジェクトの目的は食品に含まれる痛みを抑える可能性のある新規成分を文献検索後、疼痛緩和薬を食品成分で代替できないか?動物実験を立案して薬に頼らず安全性の髙い治療「補完代替医療」に貢献する基礎的知見を明らかとすることです。

アプローチ

これまでの研究成果を含めて、広範囲に、人および細胞レベルでの食品に含まれる化学成分(果物・野菜などの植物、肉・魚などの動物成分)を英語文献を検索して痛みの発症に関わる疼痛伝達の経路やシグナル伝達系への作用に関する作業仮説をたてます。

次にこの仮説を検証する最適な検証方法(行動学的手法、電気生理学的手法、形態学的,生化学的手法など)を決めます。その後、実際に動物実験を行い結果を評価を行います。

期待される結果

本研究は、西洋医学に頼らない食品を用いた補完代替医療に貢献できる研究であり、これまで、in vitro(生体外)で確認された科学的エビデンスをin vivo(生体内)で検証することにより 副作用のない化学成分で”鎮痛薬や麻酔薬”更に機能性食品の開発に貢献できると考え ます。

現状とこれから

これまでにブドウの種子に含まれるレスベラトロール、大豆に含まれるイソフラボンなどの食品成分がプロスタグランジンの合成酵素の産生を阻害すること、イオンチャネルや神経伝達物質受容体の阻害効果で、抗炎症薬、局所麻酔薬や静脈麻酔薬の代替として動物実験レベルで痛みを脳に伝える神経細胞の興奮を抑制するメカニズムを複数論文発表しました。

現在、2020年度本プロジェクト参加学生2名が新規食品成分(クルクミン、ナリンゲニン)の炎症性痛覚過敏の緩和作用を鋭意解析中です。学部学生時代に、研究者として基本素養を学びたいモチベーションの高い学生さんを指導対象としたい思います。

募集について

募集人数:2名
求める学生像: 学部学生時代に研究課題を設定、方法の立案・実行、成果のプレゼン力・論文発表などの一連の科学者・研究者としての基本的素養を学びたい、モチベーションの髙い学生さんを指導対象にしたいと思います。自分を高めることに努力のできる、神経生理学に興味があり、やる気のある学生さんは是非応募ください。

「2021年度 研究プロジェクト」に戻る >