研究プロジェクト2021

ヒト・イヌ・ネコの文化進化

菊水健史(介在・社会内分泌ユニット)、守口徹(食品)、原馬明子(食品)、齋藤弥代子(獣医外科)、久世明香(動物伴侶)、茂木一孝(動物伴侶)、永澤美保(動応介在)

研究の背景

  • イヌとネコは、ヒト社会に接近し、次第にヒト社会に共生するようになり、ヒトの移動に伴って生活環境を変化させていった。
  • そのため、イヌとネコの食性はヒト社会、つまりヒト文化の影響を受けるようになっている。
  • 例えば、イヌと祖先種をともにするオオカミは肉食であるものの、イヌは雑食性になり、デンプン消化酵素の遺伝子のコピー数が増えたり、北極のソリイヌたちは、脂肪代謝酵素の発現が上昇することが明らかとなっている。
  • 日本犬や日本ネコは、日本人と生活する中で、ヒトの食文化や日本固有の環境に依存した、代謝経路をもっていると想定されるが、その詳細は不明である。

アプローチ

  • 脂質代謝のうち、魚介料理から多く摂取可能で、心身の機能維持に重要とされる、オメガ3脂肪酸に着目する。( オメガ3脂肪酸について知っておくべき7つのこと
  • オメガ3脂肪酸を多く摂取する日本犬や日本ネコの行動特性、摂取しない日本犬や日本ネコの行動特性を明らかにする。
  • オメガ3脂肪酸に関わる遺伝子変異をヒト、イヌ、ネコ、でしらべて、ヨーロッパ、特に内陸部のそれらと比較する。

期待される結果

  • 日本人とともに、日本列島に定住したイヌとネコの、ヒトと共通の進化、すなわちヒト文化と交差する進化が明らかになる。
  • 日本犬、日本ネコに対する正しい理解が進む。
  • 日本犬、日本ネコの栄養管理に関する知識が得られる。

現状とこれから

  • 人類は,基本的に海岸沿いが生活の場であったが,内陸に移動するにつれて魚介類を食さなくなった。
  • 日本人を含む,海岸地域に定住した人種は魚介類を食べ,オメガ3脂肪酸を摂取することができたため,内陸に入ったヒトたちに比べて、これらの代謝酵素活性は低い。
  • 一方,ネコは,オメガ3脂肪酸を直接摂取しなくてはならない。
  • 洋犬と和犬で「認知機能不全症」の発症を調べてみると,和犬の方が起こしやすい。
  • 両犬種の飼料中の脂肪酸組成には差はないものの、洋犬の血液中オメガ3系脂肪酸量は,和犬(柴犬)よりも明らかに高い。
  • 良質のペットフードにはオメガ3系脂肪酸が含まれているが、それを食している犬とネコ、特に日本犬と日本ネコ、それを食していない日本犬と日本ネコには、行動の違いがあるのではないか?
  • 最終的にはその背景を生み出す遺伝子まで同定したい。
募集について

募集人数:2名
求める学生像:やる気があり、動物に興味がある学生。 特に進化、行動、文化からヒトと動物の共生を紐解きたい学生。

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